起業したての企業が追うべき評価指標とは?
目次
- 1. 起業したての企業にとって「評価指標」がなぜ重要なのか
- 2. 実際にビジネスの成長を促進する指標に注目しよう!
- 1. アクティブユーザー、またはリピート客
- 2. コンバージョン率(換算率)
- 3. 顧客獲得単価
- 4. 顧客1人あたりの平均売上
- 5. 顧客生涯価値
- 6. 解約率
- 7. 経済単位
- 8. 推薦(リファーラル)
- 9. 顧客推奨度
- 10. トラフィック源
- 3. まとめ
起業したての企業にとって「評価指標」がなぜ重要なのか
あなたの会社は開業してからまだ数年以内ですか?
「起業したての時点で、どの評価指標に注意を払えば良いのか」について考えたことはありますか?
会社を築くことは、挑戦するべき案件が引っ切り無しにやってきて、そのたびに感情が揺さぶられ、まるでジェットコースターに乗っているようなものです。
ある日はビジネスの成功をかみ締め、その翌日には仕入先とのトラブルの対応に追われるなど、目まぐるしい日々を過ごされているのではないでしょうか。
そのような忙しい日々の中で、あなたは長期目標に向かって、道がそれないよう常に舵を取り続ける必要があります。
ビジネスが正しい方向に向かっているのか、うまく機能していないこと、至急改善を必要としていることは何なのかを確認する必要があります。
目標を達成することに成功した経営者に共通することは、課題解決を上手く行っていることです。
課題解決を実行させるには「パフォーマンスを測定」する必要があります。そしてパフォーマンスを測定するには、「どの指標とデータを追跡すべきか」を知る必要があります。
実際にビジネスの成長を促進する指標に注目しよう!
あらゆるビジネスのために追跡できる多くの指標があります。
以下は、ビジネスの成長にとって有効な指標の一覧です。
アクティブユーザー、またはリピート客
頻繁にサービスを利用している、または頻繁に商品を購入しているアクティブユーザーの数を追跡すると、顧客がサービス・商品とどのように関わっているかが見えてきます。
例えば、会員費を払っている顧客の多くが、あなたのサービスをあまり利用していない場合、あなたのサービス・商品が役に立たないと顧客が感じていることが多く、近々あなたのビジネスに問題が発生する可能性が高いです。
あなたが小売店舗を運営している場合でも、会員制と同様にリピート客を追跡することは大切な基準となります。
初めてあなたの商品を購入した顧客がその商品に満足できず、二度と購入しないなんてことは避けたいですよね。
二度目、三度目とリピートして購入してくれるということは、マーケティング・広告費の経費も節約され、初めての顧客に商品を買ってもらうよりも容易なので、リピート客はなんとしても多く持ちたいものです。
顧客のリピート率は以下のように計算します。
リピート客合計数 ÷ 購入客合計数
「リピート客」とはあなたのビジネスから2回以上商品を購入した顧客が対象となります。
「購入客」とは1回以上商品を購入した顧客が対象です。会員制の場合は、無料会員登録をしたのみで購入に到らなかった顧客は除外してください。
例)
あなたの店には250人の顧客がいます。
そのうち25人は購入したことがなく、150人は一度購入し、75人は2回以上購入しています。
この例では、リピート顧客率は33%です。
75(リピート客合計数)÷ 225(購入客合計数)= 0.33
以下はリピート率のデータを元にリピート率を改善する一例です。
- 四半期ごとにリピート率を計算します。
- フォローアップメール、お知らせメール、広告などを出すタイミングを変えて、リピート率が上がったタイミングを確認します。
たとえば、測るタイミングは顧客の購入日から3日後、7日後、1ヵ月後などです。 - リピート率が上がったタイミングで広告やお知らせメールを出し、リピート率の向上を図ります。
コンバージョン率(換算率)
コンバージョン率は、実際に行動を起こした人の数を、あなたのオファーを見た人の数で割ったものに過ぎませんが非常に便利です。
たとえば、100人がネット広告をみて、その内の5人がクリックすると、その広告のコンバージョン率は5%になります。
コンバージョン率は、無料サンプル商品を受け取った顧客が有料の商品を購入する、広告の成果、ネットショッピングの買い物カゴの進捗などを追跡するのに有用です。
来店したが商品を購入しなかった顧客と購入した顧客を追跡することで、小売店舗のコンバージョン率を測定することができます。
コンバージョン率を追跡するメリットは、特定のプロセスの改善に集中でき、改善を行っている場合は改善状況をすぐに確認することが可能なことです。
顧客獲得単価
顧客獲得単価とは単一の顧客を獲得するために費やす平均金額です。
たとえば、Google上の広告に10万円を費やして、そこから100人の新しい顧客を得た場合、顧客獲得単価は1,000円です。
理想としては、「ビジネスでより利益を上げられるように、時間の経過とともに顧客獲得コストをどのように減らすことができるか」です。
顧客1人あたりの平均売上
各顧客からの平均収入を特定の期間(通常は1か月)追跡します。
前月に500人の顧客から2百万円の収入を得た場合、顧客1人あたりの平均売上は4千円になります。
この数値は顧客の購入数の増加や更に高額のサービス・商品を購入してもらうことにより、時間の経過と共に増加させたい数値です。
顧客生涯価値
あなたの顧客は時間の経過とともにどれだけの価値がありますか?
彼らは1年間あなたのサービスを利用した後、サービスを継続・更新してくれますか?
彼らはあなたから数回購入した後、再度購入してくれますか?
顧客生涯価値は「生涯」にわたって顧客から得ることのできる平均的な価値です。
長年、事業を行ってきた既存事業であれば、この数値を確認するためのデータが蓄積されているかもしれません。
新規ビジネスの場合でもこれを予測する方法があります。
現在の顧客から以下を測定します。
- 顧客はあなたのサービス・商品にどれくらいお金を払っていますか?
- 顧客があなたのサービス・商品を利用した期間は?
- 顧客が購入した製品を作るのにどれくらいの費用がかかりましたか?(マージンはいくら?)
- 顧客獲得にどれくらいの費用がかかりましたか?
上記の数値を元に、顧客生涯価値を以下のように計算することができます。
顧客1人の年間利益貢献度x顧客でいた平均年数ー最初にかかった顧客獲得単価
以下の例を参考にしてください。
顧客の生涯価値を算定すると、どの分野があなたの会社に最も適しているかを確認するために必要なデータが得られます。
例)
3年前に起業したばかりのネット販売会社。販売数は増えたが、基本的な指標がわからないため、顧客の生涯価値を算定したいと考えています。
- 売上金額一覧表の欄にすべての売上取引を記入し、顧客のソースを特定します。
- 別の欄には、顧客ソースごとに顧客の数を測定し、顧客ごとに費やした時間、時間枠、費やした額を合計します。
- 顧客獲得コスト、売上原価、利益の各ソースのコストをどれくらいにするかを決めます。
顧客ソース | 総収入 | 顧客数 | 顧客生涯価値 | キャンペーン費 | 顧客獲得コスト | 顧客収益 | 売上原価 | 顧客利益 |
友人&家族 | ¥574,200 | 39 | ¥14,723 | ¥14,723 | ¥2,500 | ¥12,223 | ||
メルマガ | ¥178,200 | 11 | ¥16,200 | ¥2,500 | ¥227 | ¥15,973 | ¥2,500 | ¥13,473 |
イベント | ¥39,600 | 4 | ¥9,900 | ¥100,000 | ¥25,000 | ▲¥15,100 | ¥2,500 | ▲¥17,600 |
広告 | ¥79,200 | 4 | ¥19,800 | ¥19,800 | ¥2,500 | ¥17,300 | ||
SNS(ブログ等) | ¥366,300 | 18 | ¥20,350 | ¥20,000 | ¥1,111 | ¥19,239 | ¥2,500 | ¥16,739 |
検索エンジン | ¥267,300 | 8 | ¥33,413 | ¥200,000 | ¥25,000 | ¥8,413 | ¥2,500 | ¥5,913 |
解約率
あなたのサービスをキャンセルする顧客数から解約率を計算します。
底に穴の開いたバケツを想像してみてください。給水しても、穴から水が流れ出します。
これと同じで、ビジネスが成長するには、顧客の契約数を解約数よりも速いペースで増やす必要があります。
毎月の定期購入ビジネスの解約率を計算するには、その月に解約した顧客数を、その月の初めに持っていた顧客数(その月に得た新規顧客数は含めない)から割ります。
例)
解約率 = 7月中(7月1日~7月31日)に解約した顧客数 ÷ 月初(7月1日)時点での総顧客数
新規顧客を獲得するペースを上げたり、解約する顧客の数を減らすことで、解約率に影響を与えます。
より多くの顧客を獲得することは常に必要なことですが、顧客を維持することに集中することがより良い投資になる場合もあります。
顧客の満足度を保つ機能やサービスを追加することで、既存顧客が引き続きあなたのビジネスに支払う金額が増え、新規顧客を獲得するよりもコスト効率が向上します。
経済単位
顧客生涯価値(LTV)を把握しており、顧客獲得にどれくらいの費用がかかっているか分かっている場合は、経済単位分析を行うことができます。
「あなたのビジネスは顧客獲得のために費やすコスト(CAC)よりも、時間の経過とともに顧客から得る収益(LTV)の方が大きいですか?」
たとえば、新しい顧客を獲得するには1万円のコストがかかるかもしれませんが、その顧客は時間の経過とともに3万円をあなたの商品・サービスへ費やします。
この顧客の経済単位(LTVとCACの比率)は3万円:1万円、3倍の比率となります。
起業家の中には、顧客を獲得するためにどれくらいの費用がかかっているか(CAC)について甘く見ている人が時にいます。
これはおそらく「自社商品・サービスに対して顧客はとても魅力的に感じて購入するに決まっている」という自信や信念から来るのでしょう。
残念ながら現実はそう上手くは行かないことが多いのです。
推薦(リファーラル)
ほとんどのビジネスにとって、新規の顧客を獲得する最もよいソースは既存顧客からの推薦です。
人は良い経験をした場合、周りの人に話したくなるものです。
肯定的に正しく行われれば、口コミのマーケティング効果は強力で、広告費用の節約になります。
「リファーラル数」を追跡する価値があります。
たとえば「誰があなたのサービス・商品を紹介しているのか、そしてなぜそれが素晴らしいと思うのかを知る」ことが大切です。
そのデータを使用して、顧客が望むものを構築します。
推薦から得た新しい顧客の割合から、顧客体験の評価を測ることが出来ます。
リファーラル数が落ち始めると、おそらくあなたの商品・サービスの何かが満足されていないと考えられます。
悪い経験をした場合も、人は周りに話したくなるので注意が必要です。
顧客推奨度
顧客推奨度はネット・プロモーター・スコア(NPS)とも言い、顧客の満足度からなる顧客推奨度を数値化する指標です。
顧客の継続利用意向や、顧客があなたのビジネスを友人・知人に推薦する可能性を測定します。
顧客推奨度の測定方法は以下の通りです。
顧客への質問「0から10までの範囲で、この会社の商品・サービスを友人や同僚にどの程度推奨しますか?」の統計を取ります。
その結果を以下の3つにグループ化します。
推奨者 9-10点
サービス・商品にとても満足しており熱心な顧客。自らが継続購入客であるだけでなく、他者へ推奨する。
中立者 7-8点
サービス・商品に満足しているが、他社のサービス・商品でより良いものがあれば、そちらへなびかれ易い。
批判者 0-6点
サービス・商品に対する不満をもっている。
推奨者の割合から批判者の割合を差し引いて計算した数値があなたの得点です。
+100が最高点ですが、+50でも良い数値とみなされます。
例)
10人中7人が推奨者で、1人が批判者の場合、70%-10%=60%
よって+60が顧客推奨度の数値となります。
トラフィック源
推薦によってあなたのサービス・商品を購入した顧客については上記で述べました。
他には何がキッカケで顧客があなたの商品・サービスを買うことになったのかも知りたいですよね?
口コミ以外で、広告経路(Google Adwords、Facebook広告、新聞広告など)
はありますか? 新しい商品・サービスを紹介するのに役立つ展示会はありますか?
どのトラフィック源が顧客を連れてきているのかを把握できれば、効果的に費やすべきお金や時間が見えます。
まとめ
上記のすべての指標は、ビジネス成長の追跡に適した指標です。
しかし、一日の終わりには、あなたのビジネスで出入した実際のお金の流れに焦点を当てる必要があります。
ビジネスを存続させるための財務指標については、キャッシュフローのページを参考にしてください。