あなたの会社の「独自の売り」は何ですか?
目次
- 1. 「USP」とは?
- 2. なぜ独自の売り・独自販売案(USP)が必要なのか
- 3. 完全に差別化したUSPを作成することがカギ
- 4. 実際の戦略って何?
- 5. なぜ戦略を策定する必要が有るのか?
- 6. 間違った戦略から抜け出すには?
- 7. どのように戦略を立てればよいの?
- 8. 最初の一歩を踏み出すための簡単な戦略
- 9. まとめ
「USP」とは?
あなたの会社には独自販売案はありますか?
競合他社とは対照的な「USP」を持っていますか?
USP(Unique Selling Proposition)とは、自社の強みを集約し、顧客に分かりやすくしたマーケティングの「独自販売案・独自の売り」の事です。
あなたの商品・サービスを使用する顧客にとって忘れがたくなるような、メリットを強調する、個性的かつ簡潔で覚えやすいメッセージを含む独自の販売案です。
USPを持っているか、いないかでは、今後の収益に甚大な影響を及ぼします。
独自販売案は強固で一貫した広告キャンペーン(マーケティング)の一環として使用する必要があります。
ウェブサイトに、会社の車やトラックに、レターヘッドや梱包箱に独自販売案であるメッセージ「売り」を提示します。
このメッセージは本質的にあなたの会社の立ち位置を示す声明なのです。
商品のメリットを定義する、市場における会社固有の立場の宣言です。
独自販売案は戦略の一部(ブランド戦略)といったほうが想像し易いかもしれません。
USPは商品・サービスを使用して得られるメリットのうち、最も強力で簡単に伝達できる1つ、または2つのメッセージのみに的を絞る傾向があります。
商品、品揃え、価格、品質、信頼性、技術、ファッション、カスタマイズ、専門性、またはサービスの性質などに焦点が当てられます。
なぜ独自の売り・独自販売案(USP)が必要なのか
「なぜ単に商品のメリットや機能を記述するだけではいけないのですか?」
「なぜ一貫性のあるイメージに固定する必要があるのですか?」
「なぜ1つの広告や宣伝キャンペーンから次の宣伝キャンペーンへ移行するごとに、別のメリットを提示しないのですか?」
と疑問に思われたかもしれません。
毎日、どこにいても、新聞や雑誌、テレビやラジオ、バスや電車の掲示板、そしてもちろんインターネット上では広告メッセージで溢れかえっています。
広告は避けることができないので、私たちはそれらの広告が伝えるメッセージの大部分を無意識のうちに遮断する傾向があります。
たとえその時、興味を持った広告でも、人は時間の経過とともに忘れてしまいがちです。
ほとんどの広告は回収率も低いのが現実です。
長期的な認識を構築するには、見込客にその商品・サービスに関する簡潔で一貫したメッセージを記憶させることに焦点を当てるべきです。
消費者が絶え間なく変わる商品・サービスに関するメッセージを、その都度覚えていることを人々へ期待することは、ほぼ無駄なことです。
USPは、商品・サービスを使用することの最も強力で競争力の有るメリットに的を絞って、それを伝えます。
それは競合相手と差別化し、あなたの商品・サービスを消費者の心の中に強く印象付けます。
独自の売りの無い広告を出そうものなら、あなたは単に、業界全ての商品・サービスを宣伝しているのと代わりないといっても過言ではないでしょう。
完全に差別化したUSPを作成することがカギ
競争力のある他社の商品・サービスが、あなたの商品・サービスと同様のメリットを提供する、または実質的に同一の機能を持つ場合、それを差別化するなんて、言うほど簡単なことではないと思われたかもしれません。
この作業を達成するUSPを開発することを「製品差別化(差別化戦略)」といいます。
商品差別化を図る強力な3ステップをご紹介します。
ステップ1
以下の2つの質問に答えてください。
①どの市場で競争しようとしていますか?
②競合相手とはどのようにして競うつもりですか?
これらの戦略に関する質問は、USP特有の「顧客にとって忘れがたくなるような、メリットを強調する、個性的で簡潔な覚えやすいメッセージ」よりも内容が複雑になってしまう可能性がありますので、それらについてさらに深く議論し、いくつかの例を以下に挙げます。
ステップ2
「①どの市場で競争しようとしていますか?」に関して掘り下げていきます。
最も強力な戦略は、競争率が低く、参入障壁が高く、収益性が高い市場に参入することです。
そのような理想的な市場を見つけるのは難しいですが、見つけだす価値は大いにあります。
場合によっては、その市場をあなたが独占するために、市場自体を再構築または再定義して、新しい市場細分化を行う必要があります。
たとえば、あなたは塗装事業を起業することを考えているとしましょう。
既に競争の激しい分野ですが、どのように他社のサービスと区別できますか?
あなたが非常に経験豊富であるか、または有名で評判の高い絵画会社で働いていた場合は、アート性を重視した、より高度で複雑な、よりハイエンドな塗装事業に的を絞れます。
あなたは、名前から、雇用しているスタッフ、運営計画、マーケティング計画、価格設定まで、市場のハイエンドに向かって、あなたのビジネスを完全に「最上級」へと位置づけることができます。
または、屋内塗装だけに焦点を当てる、または請負業者のための新築の家や工業用の塗装を専門とする塗装事業を営むことで他社のサービスと差別化をはかることも出来るでしょう。
例)子供病棟の壁の絵画塗装、レストランの壁や天井の絵画塗装
戦略に100%従事する必要はありません。
たとえば、特定の種類の作業を売りとして強調することができますが、収入を早く得る必要がある場合は、より一般化された作業を同時に受け入れていく柔軟性も必要です。
たとえばコンサルタントが職業で専門がサプライチェーン・マネジメントの場合、これがビジネス戦略の中核を成すかもしれません。
それは、あなたのビジネスが主に促進すべき戦略となり、やがてあなたのビジネスの売りとなり、市場の中でも高額な料金を請求できるようになるかもしれません。
しかしサプライチェーン・マネジメントを専門としたビジネスを構築するまでは、より一般化された、より低い賃金のコンサルティング案件も引き続き受け入れることも大切です。
売りが構築されるまでは、融通を利かせましょう。
ステップ3
「②競合相手とはどのようにして競うつもりですか?」に関して同じ市場で競合する方法の見つけ方について掘り下げていきます。
競合会社が多くない特定の市場細分化、または隙間市場を見つけることは、効果的な戦略を策定する最も一般的でシンプルな方法です。
想像しやすいよう、まずは実話を例に紹介します。
レンタルバイクAが夏の期間だけで15,000,000円の収入を得ていると聞いたBは、レンタルバイクBを開店しました。
レンタルバイクBはレンタルバイクAのビジネスを真似しました。
中古のバイクを50台購入し、ガソリンスタンドやホテルの敷地を借りてレンタル事業を始めました。
ところがまったくレンタルをする顧客が現れませんでした。
レンタルバイクAとBの違いは、Aのバイクは新品に対しBのバイクは中古。
さらに、レンタルバイクAは既に優良立地(駅近等)を確保していました。
レンタルバイクAの「売り」は新品のバイクを優良立地で貸し出すことです。
そこでBはレンタルバイクAと差別化を図る戦略を模索しました。
その戦略とは、ステーションワゴンにバイクを積み、配達サービスを行うことです。
すると値段を高めに設定して、バイクは中古バイクであるにも関わらず利用客が増えました。
それはレンタルバイクBはその地域では唯一、レンタルバイクの配達サービスを行う会社だからです。
配達サービスが競合相手と差別化を図るレンタルバイクBの「売り」となったのです。
「競合相手が成功しているから同じ事をすれば自分も成功するだろう」と特に新規企業の経営者は思いがちです。
しかし上記の例のように単に競合相手のビジネスが成功しているからといって、それをそのまま真似てもあなたのビジネスが成功するとは限りません。
特に起業したてのビジネスでは他社の真似をして成功できる確率は更に低くなります。
なぜなら新規企業は新しい顧客の獲得、信頼性を確立するなど、まだ構築段階だからです。
既に構築された競合相手と同じ戦略「売り」ではなく、差別化した異なる「売り」を持つことは、特に潜在顧客に効果を発揮します。
実際の戦略って何?
企業戦略とは、ビジネスが成功するための独自の競合相手とは異なるユニークな手法であり、ビジネスプランの基礎を形成し、日々の業務を統制することです。
ここでの差別化戦略とはビジネス定義や関連市場の概要ではなく、代わりに企業とその競合相手を区別し、企業の長期的な成功に最も貢献すると期待されている1つまたは2つの重要な要因のことです。
差別化戦略は、あなたが競争しようとしている特定の隙間市場に焦点を当てるか、競争する方法に集中することができます。 またはその両方に焦点を当てることもできます。
最も効果的であるためには、企業の戦略は多くても1ページ以内に収められていなければなりません。
できるならば1文に収めるのが理想的です。
分かりやすく纏められたシンプルな戦略は頻繁に社内伝達され、社員の焦点を常に維持させるべきです。
なぜ戦略を策定する必要が有るのか?
起業したばかりで社員一名の新興企業から世界で知られる規模の大企業まで、すべての企業に戦略が必要です。
優れた独特の戦略を立てることで、あなたのビジネスが市場で特定のアイデンティティを構築し、維持し、継続的に強化することが保証されます。
戦略は年次事業計画を策定する核になります。
また、中期的な計画からの逸脱を考慮するのに役立つフレームワークを形成します。
さらに、重要な機能分野のための一貫した指針を設定するのに役立ちます。
良い戦略は毎年続くべきであり、1年の事業計画を翌年の計画に結びつけるでしょう。
これにより、前年度の業績の1つ1つを積み上げながら構築し続けることができます。
明確に定義された、または厳密に守られた戦略がなければ、一時的な困難に陥ったときや経営陣が昔と代わらず古いビジネスを続け壁にぶち当たった際などに、企業は方向性を見失う傾向があります。
たとえば、フレッシュフルーツを使ったスムージーが売りの店なのに、突然ケーキやパン類の販売を開始し、ベーカリー事業を導入することは、厳密に戦略を守ることから道がそれたビジネスにありがちな間違いです。
経営陣がビジネスの本質を失ったというメッセージを顧客に与えてしまいます。
間違った戦略から抜け出すには?
戦略を開発することは難しいことのように感じるかもしれませんが、戦略自体はそれほど複雑ではありません。
基本的には、あなたのビジネスを競合他社と差別化する重要な要因を1つ見つけることです。
しかし、起業家が簡単に起こしがちな間違いもあります。
本当に「顧客にとって重要か」「顧客にとって意味が有るか」「顧客のためになるか」などを考慮せずに、ただビジネスを差別化することのみに集中してしまうことです。
自問することは次のとおりです。
「この新しい戦略的差別化によって、新規顧客を獲得することができますか?」
「現在、競合企業が取引している顧客を自社に引き付けるだけで十分なのですか?」
理想的には、顧客や潜在顧客の一部に、本当に重要なことを尋ねるべきです。
アプローチの仕方については顧客のニーズを知る方法のページをご覧ください。
たとえば、「フルサービス」を推進していること、または「経験豊富な整備士」を備えていることを戦略としているガソリンスタンドAがあるとします。
ところが、顧客たちはそのガソリンスタンドAではなく、他のガソリンスタンドBでオイル交換をしています。
それらの顧客は通常そのガソリンスタンドBで給油している訳ではありません。
顧客がガソリンスタンドへ足を運ぶ理由は、ガソリンスタンドBは迅速で、合理的な価格のオイル交換サービスの場として首尾よく位置付けられている為です。
どのように戦略を立てればよいの?
①競合相手の性質や業界の変化の仕方など、業界の現状を評価して戦略を策定してください。
②主要競合企業を深く評価します。
特に、それぞれが他のものと異なることに焦点を当てます。
たとえば以下を自問します。
- 競合企業がどのように自社を他社から区別しようとしているのか。
- 顧客がどのように相違点を認識しているように見えるか。
- 競合企業が優れていること・劣っていること。
③競合する主な製品とサービスを評価します。
各主要競合企業の戦略のリストとその有効性をまとめます。
④ブレーンストーミングします。
- 他にどのような戦略が有効でしょうか?
- 競合企業が良い成果を出すことに繋がっている、顧客にとって重要(ベネフィットになっていること)なのは何ですか?
- 競合企業によってうまく対処されていない隙間市場はありますか?
- 競合企業に欠けているが、あなたの会社が市場にもたらすことができる特別な強みはありますか?
新しい戦略を考えるのに可能な限り多くの時間を費やしてください。
たとえば無関係な業界を見て、何らかの形でその企業のパフォーマンスが上がっているかどうかを調べます。
そして彼らの戦略は自分のビジネスに活用できるか考えてみます。
最初の一歩を踏み出すための簡単な戦略
戦略がどうあるべきかは何を根源に決めますか?
あなたのビジネス(商品・サービス)の強みと弱みをどのように評価しますか?
戦略を考え出すのに行き詰って、なかなか実際に行動に移せない人も多いかと思います。
そこで、まずは最初の一歩を踏み出せるよう、簡単な戦略の探し方からご紹介します。
考慮すべき戦略の変動はいくつかあります:
- 高品質 ⇔ 低価格
- 幅広い取扱品目 ⇔ 限定した数の取扱品目
- ハイテク商品 ⇔ ローテク商品
- 最新トレンド商品 ⇔ 伝統的な商品
- ブランド名 ⇔ 一般名
- カスタマイズされた商品 ⇔ 標準の商品
- 隙間市場 ⇔ 主流市場
強力な戦略を発見するには何度も思考思索をかさねる必要があります。
しかし戦略は複雑である必要はありません。
むしろ戦略「売り」はシンプルなほうが良いです。
まとめ
あなたのビジネスと同じ業界には既に市場のトップの地位を築いている企業があるかもしれません。
しかし成功するためには業界市場のトップ企業になる必要はないということです。
競合他社と同じ土俵に立つ必要はありません。
大切なのはあなたのビジネスの強みを見つける必要があり、成功するために競合相手からあなたを区別するための「あなたのビジネスの売り」を見つけることです。
自社の強みに関連する記事はこちら⇒SWOT分析の正しい活用法