コールド・Eメール

目次

コールド・Eメールとは?

面識の無い相手、潜在的な顧客へ向けていきなりEメールを送ることを、「コールド・Eメール」とよびます。

これまで繋がりのなかった新規の相手に電話で営業をするコールド・コールほど不躾な印象は与えませんが、一歩間違えるとスパム扱いされかねないコールド・Eメール。

使い方によっては営業で利益をもたらすどころか、ビジネスへ悪影響を与えてしまうこともあります。

あなたは大丈夫でしょうか?間違った方法でコールド・Eメールを行っていませんか?

コールド・Eメールは、2つの理由から他の通信方法より難易度が高くなります。

  • あなたが相手と面識すらないこと。
  • その場にいない相手の反応を得ることはできないため、相手との対話を通して、あなたのアプローチをリアルタイムで調節しながら、相手とコミュニケーションを図ることができないこと。

この結果、ほとんどのコールド・Eメールが失敗してしまいます。

しかし上手く行く方法もあります。

この記事では一括送信されるセールスメールについてではなく、特定の人にコールド・Eメールを送信する方法について説明します。

コールド・Eメールの効果的な5つのポイント

コールド・Eメールに関する研究は多くありませんが、シェイン・スノー氏は著書Smartcutsで興味深い実験を行っています。

彼はまず経営幹部へ向けて1,000件のコールド・Eメールを送りましたが、ほとんど何の反応も得られませんでした。

次に彼は小さなグループ分けをし、自らのコールド・Eメールの経験に沿ったいくつかの原則を適用しました。

さらにペンシルベニア大学ウォートン校、アダム・グラント心理学教授(彼の著書の幾つかは日本語に翻訳されています)、起業家らのアドバイスを参考にしたコールド・Eメールを送り直した結果、良い反応を得ることに成功しました。

コールド・Eメールを効果的にするには次の5つのことを行います。

1. パーソナライゼーションする

パーソナライゼーションとは何かを個人向けにカスタマイズすることです。

コールド・Eメールの場合、メッセージを相手(受信者)に合わせることです。

そのためにはコールド・Eメールを作成する前に相手のリサーチをする必要があります。

しかし、これを行うには正しい方法と間違った方法があります。

あなたが相手について理解するために行うこと、例えば、

  • この人の世界観は?
  • この人が興味を持っているものは?
  • この人が望むものは?

などを調べながら理解を深めるにつれ、あなたは相手についての “心の理論”を発達させることができます。

パーソナライゼーションは、あなたが相手を理解するために努めたことを示します。

次にコールド・Eメールを送信する理由を明確にします。

ある研究によれば、自分が適役だと感じると、人は「相手の役に立ちたい!」という気持ちが強くなるそうです。

相手がどこに対して(何に)最適なのかを正確に説明することによって、相手にとって意味をなすストーリーを伝えることができます。

同時にあなたの要求が別の方法で容易に達成されないようにすることも重要です。

例えば、マーケティングで成功している人のアドバイスを必要としているときに、ただその人がマーケティングで名が知られているという理由のみで、相手へ協力を申し出ることは控えるべきです。

相手はすでに著書などでアドバイスをしている可能性もあります。

まずは、リサーチを行い相手について調べた上で、相手をパーソナライゼーションしたコールド・Eメールを送りましょう。

2. 自分自身を検証する

見知らぬ人と出会ったりメールを受け取ったりしたとき、その人が誰であるか、その人があなたににとって重要であるのかどうかを知りたいと思うでしょう。

相手にとってあなたは見知らぬ他人だということを忘れないでください。

あなたはコールド・Eメールを送った相手についてリサーチをして相手のことをある程度知っていますが、相手はあなたのことをまだ一切知りません。

なので、まずは相手の信用を得なくてはなりません。

共通の知人がいれば、それはあなたが相手に提示できる最も強力な社会的証拠、信頼になりえます。

直接関係している場合は、そのことを伝えるようにしましょう。

お互いの知人がいれば、もはや、お互いに見知らぬ人同士ではないという印象を得ます。

もしあなたが知名度を持っている、信頼を得ている、または社会的地位を持っている場合でそれらが相手に関係あり、あなたの要望に関連する場合は、コールド・Eメールに記載し相手へ伝えましょう。

あなたが特に社会的地位を持っていなくても問題ありません。

相手との共通点を見つけだしさえすれば良いのです。

特に個人的な内容だと親しみや魅力に感じられます。

例えば、故郷や珍しい趣味のような相手が予期しない繋がりを探しましょう。

アダム・グラントが指摘しているように、「類似点がまれであるときこそ、最も重要です。調和と異彩が同時に発生するような、珍しい共通点を共有するときに人は相手との繋がりや結びつきを感じます。」

要点は、あたなが「見知らぬ他人」から「縁」を相手に感じさせる方法を見つけるということです。

3. あなたの顧客の苦痛を和らげたり、必要なものを与える

相手はあなたのコールド・Eメールを受け取って何のメリットがあるでしょうか?

相手が忙しい中でも対応するほどの価値が、あなたのコールド・Eメールにありますか?

「人々は喜びを得るよりも痛みを避けるために、はるかに尽くす」ということを忘れないでください。

相手の立場になって想像してみましょう。

あなたが顧客にとって大きな苦痛の原因を見つけ、その救済を提供することができるのであれば、その事を強調してください。

もし顧客の問題を解決できない場合は、代わりに何か為になるものを与えるようにします。

例えば、あなたの知人を紹介することで相手のためになるのであれば、コールド・Eメールでそのことに触れましょう。

相手が「是非、このXXさんとコネクションを持ちたい!」と考えた場合、これは相手にとって思いがけないプレゼントとなり、メール内容が際立ちます。

しかしそのプレゼントは、相手が見知らぬ人からのプレゼントとして受け入れるのに適切だと感じられるレベルである事が大事です。

たとえば、急にEギフトカード(Eメールタイプの商品券)などをコールド・Eメールと一緒に相手に贈りつけることは避けたほうが無難です。

それは相手が見知らぬ人から受け取るには不審に感じるからです。

4. コールド・Eメールは短く、シンプルに、実行可能な状態に保つ

多くの人々は誰かを助ける機会を得たり、誰かの役に立てたことを嬉しく感じます。

あなたが相手に助けを求めることによって、相手は悪い気持ちはしません。

コールド・Eメールは相手が行動に移しやすいように簡潔にしましょう。

あなたも経験があると思いますが、Eメールは長文よりも短い文章の方が相手に読まれる確立は高くなります。

明確で具体的な行動を要求するEメールは、より高い応答率を得ます。

だらだら回りくどく書くことは避けましょう。

物事を短く直接的に保つ最も良い方法の1つは、相手へ話しかけるように書くことです。

例えば、相手とパーティーで会ったときに、あなたはいきなりセールストークを始めたりはしませんよね?

通常は自己紹介を行い、相手にとって嬉しいことを言ったり、共通の知人や興味のあることについてなど会話を通し、距離を縮めてから本題へと移行します。

そしてコールド・Eメールを相手へ送信する前に、内容を声に出して読むことをお勧めします。

文章が自然に聞こえれば問題ありません。

不自然に聞こえるのであれば修正する必要があります。

コールド・Eメールを書く際「是非、一度お時間を頂きお目にかかれることを希望しています。」のような内容は相手の負担を重くするので避けましょう。

このような問い合わせ方だと、相手に余計な手間やエネルギーを取らせてしまうことになり、簡潔で実行可能な内容とは程遠くなります。

なるべく相手の負担を減らすためには「XX駅前のXXコーヒー店で月曜日か火曜日、午前8時から午前11時の間でお会いすることは可能でしょうか。もしご都合が悪いのでしたら都合の良い日にちを教えてください。」のような内容にします。

このように明確で簡単に特定したオプションを用意して相手が行動を起こしやすいようにリードします。

あなたが相手に望むことをただ伝えるだけではなく、効果的な伝え方があるのです。

どのように相手へ伝えるかが重要です。

5. 感謝の気持ちを表現する

コールド・Eメールを送信することで、あなたはあなたの事を知らない相手に頼みごとをする訳です。

相手への感謝といくつかの弱みを見せることによって「あなたを助けてあげよう」という気持ちになり、同時に「自分は良い人」という感情を相手は自分自身に対して抱きます。

あなたから相手に頼みごとをしていることから、相手はちょっとした力と地位を得たようにも感じます。

ただ「ありがとうございます」と書くだけではなく、感謝の気持ちを表現することによってコールド・Eメールの応答率は倍増します。

更に、「お忙しいようでしたら、日を改めてご連絡させていただきます」と記載することによって相手に、逃げ道(断りやすいよう)を提示します。

相手が断りやすい状況を提示しておくと、かえって相手があなたのために協力する可能性が増します。

礼儀正しい 「感謝」を表明した人間味を感じるメールは、レスポンスを得られやすくします。

アドバイス

最後に、ちょっとしたアドバイスも以下に紹介します。

テンプレートの使用は避けよう

近年はメールやセールスレターに使える良いテンプレートを検索すると数多く見つけることができます。

しかし、コールド・Eメールは送る相手にパーソナライズすることが鍵ですから、コールド・Eメールのテンプレートはほぼ見つけることができないと言っても過言ではないでしょう。

署名欄を活用する

会社の住所、Eメールアドレス、電話番号、そして相手に見て欲しいサイトのリンクなどは、全て署名欄にまとめて記載しておきます。

コールド・Eメールを読み直して探さなくてすむよう、相手の手間を省くためです。

画像の使用は避ける

スパムメールとみなされ相手にコールド・Eメールが届かない可能性が高まるため、画像の使用は避けましょう。

上記のように、サイトのリンクを署名欄に記載し、リンク先のランディングページで相手が画像を見れるようにすればよいのです。

フォローアップ

1通目のコールド・Eメールに対して相手から返答が無い場合、フォローアップのメールを入れましょう。

相手はあなたのコールド・Eメールの内容に興味があっても、忙しくて返答が遅れているだけかもしれません。

メッセージをテストする

それぞれのメッセージに異なるフック(相手の興味を引き付けるもの)を試してみてください。

コールド・Eメールに載せた詳細の量を増やしたり減らしたり、さまざまなリンクやリソースを試してみてください。

高い応答率を得ることが出来たコールド・Eメールを参考に、あなたのコールド・Eメールの腕を益々上げてください。