顧客のニーズを知る方法
「顧客が何を欲しがっているのか」「何を必要と感じているのか」など顧客のニーズを知ることができれば、そのニーズの解決方法となる「顧客にとって助かる、顧客のベネフィット」を提供することができます。
これが出来れば、こちらから売ろうとしなくても、顧客からあなたの会社の商品・サービスを買いたいとやって来てくれます。顧客は喜んでくれますし、良いことずくめです。
「顧客のニーズを知る方法?そんなの簡単でしょ!」と思いましたか?
- 顧客に何を求めているか聞いてみる
- 顧客へそれを与える
- 利益が出る
もし、この1~3があなたが考える市場調査のステップだとしたら、それは大きな間違いです。上記の3ステップを行っているのであれば、今すぐに止めましょう。
これらの手順は、顧客の真の願望を理解し、その結果として利益を得ることから遠ざけてしまうものなのです。
もちろん「肥満解消のため、ダイエットしたい!」「口臭をなおしたい!」など単純明快な顕在ニーズ(顧客自身が「これが欲しい、これがしたい」と商品やサービスの必要性をはっきりと自覚しているもの)も存在するのですが、顧客自身がまだ気づいていない潜在ニーズが多くあるのです。
そこで、顧客自身がまだ意識していない潜在ニーズを引き出す方法を紹介します。
目次
顧客へ「何を必要としているか」を尋ねても、顧客自身がその質問に答えられない!
ほとんどのフィードバック駆動型マーケティングの致命的な欠陥は、顧客が実際に自分が望むものを分かっていないということです。
それにもかかわらず、アンケートを取ったからといって「顧客の願望をしっかり把握することができた」と信じてしまうことは恐ろしいことです。
この欠陥を回避するには、「顧客が望むもの」を知るのではなく、まず「顧客が望んでいないもの」を知る必要があります。
たまに以下の例のようなアンケートをとっている会社がありますが、顧客の反応を自分の経験と置き換えて想像してみてください。
「あなたは弊社の商品をもう一度使用しますか?」
顧客の心の声:”う~ん?たぶん。もし この商品のことを覚えていれば。”
「あなたが弊社の商品を使ってみた評価を1-10の数値でお答えください。10が最高点となります。」
顧客の心の声:”7? いや、8かもしれない? これらの数字が何を意味するんだろう?”
極めつけが次の質問です。
「あなたは弊社の新製品を購入しますか?」
これらの質問に対する返答は一切あてになるものではありません。特に最後の質問はまったく意味を持ちません。
私たち人間は、自分のことを客観的に見ることが苦手な人が多く、自己のことになると不確かになりがちです。将来の自分の行動を予測しても、実際にその状況に遭遇したときに自分の予想が間違っていたということはよくあります。
アンケートに回答した顧客は「アンケートを取っている側が聞きたいだろうと思う内容を回答する」傾向があるというリサーチ結果もあるそうです。
スティーブ・ジョブズは以下のように言っています。
顧客自身が望むものを知ることは、顧客の仕事ではありません。
ネット上で回答ができるアンケートシステムのおかげで調査は容易になりました。しかし、顧客からのフィードバック調査の質問において、「あなたは」で始まる質問はあまり有効ではありません。
「顧客に求めているものを尋ねる(ask the customer what they want)」と「顧客に求めているものを尋ねない(don’t ask the customer what they want)」の検索数をGoogleで比較するだけでも、そのことが分かります。
以下は実際にGoogleで検索してみた結果です。
マーケティング先進国アメリカでは、スティーブ・ジョブズが言ったとおり、「don’t ask the customer what they want」について書かれたサイトの件数が明らかに多いことが確認できます。
驚きの結果かもしれませんが、顧客に欲しいものを尋ねることに意味が無いということがお分かりいただけたでしょうか?
顧客のニーズを知ることができる有効な質問
では、どのような質問をすれば顧客のことを知ることができるのかを説明します。ここではカスタマー・ジャーニーの段階に合わせた質問をそれぞれ紹介します。
カスタマー・ジャーニーとは顧客が商品やサービスを知り、最終的に購入に至るまでの、顧客の「行動」「思考」「感情」などの段階のことです。
顧客の関心度は「認知段階」「検討段階」「決定段階」の3つのステージに分けられます。
ステージ | 説明 |
---|---|
認知段階 | 商品・サービスのことを知らない |
検討段階 | 商品・サービスに興味を持つことによって、 情報収集したり他社の商品と比較し検討する行動を取る |
決定段階 | 商品・サービスを購入する意思が固まっている |
この3つの関心度の各段階に適した質問をそれぞれ用意する必要があります。
認知段階の顧客への質問例
- 弊社の商品・サービスを知る前に、あなたは問題を解決するために何をしましたか?
- その解決策について気に入らなかったことはありましたか?
- 後で解決するのではなく、問題を今解決することをなぜ優先したのですか?
- もしあなたが解決を後回しにしていたら、何が起こったでしょうか?
- もしあなたが今知っていること(弊社の商品・サービス)をもっと以前から知っていたら、問題の解決策を選択する際にどのような違う影響がでましたか?
検討段階の顧客への質問例
- 適切な解決方法を見つける上で、最も難しい部分は何でしたか?
- 弊社の商品・サービスの検索をしているとき、何が一番大変でしたか?
- 弊社の商品・サービスについて検索を開始した時、あなたにとって絶対に重要だったこと、譲れないことは何でしたか?
- 弊社の商品・サービスに対する情報収集を行っている間、どのようなことに気をつけましたか?
- 弊社のビジネス(業界)に対してどのように思っていましたか?
- 検索してみて、弊社の商品・サービスは他とはどこが異なりましたか?
- 過去の経験や口コミに基づいて、この業界のビジネスについて嫌いなことはありますか?
決定段階の顧客への質問例
- 弊社の商品・サービスを選んだ理由を教えてください。
- 選んだ際にあなたにとって何が重要でしたか?
- 弊社の商品・サービスを選んだことは良い選択でしたか、それとも悪い選択でしたか?
- 上記の理由を教えてください。
- 弊社の商品・サービスはあなたにとってどのようなメリットをもたらしますか?
- もし弊社の商品・サービスを知らなかったら、あなたは代わりにどうしていましたか?
- もし弊社の商品・サービスを使うことであなたの問題を解決していなかったら、今のあなたの状況はどうなっていると思いますか?
まとめ
顧客のことを知ることはビジネスの生命線に値します。
フィードバック駆動のマーケティングは、正しく行えば効果的に機能します。顧客に適した質問内容のアンケートを行い、顧客のことを良く知るようにしましょう。
そして顧客の為になる商品やサービスを提供するのにぜひ役立ててください。
会社の収益性を高め、従業員が一生働ける環境の会社づくりをするためには、財務基盤を固めることも必要です。従業員に財務がわかる人がいない、財務の専門家が必要ということがあれば、当社にお声がけください。会計や税務だけでなく、財務、保険、銀行取引やITにも強い公認会計士が、あなたの会社の発展のため、全力で支援させていただきます。
財務、退職金制度、経営等について、お役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしければコラムの一覧もご覧ください。