リーン・ビジネスプランニング
あなたの計画立案には無駄はありませんか?
無駄な時間を費やしていませんか?
リーン・ビジネスプランニングとは無駄の無い計画立案の方法のことです。
リーン・ビジネスプランニングを活用することで、簡単に実行できる生きたプランを構築できます。
既存の企業だけではなく、資金繰りなど多くのリスクを背負った新興企業、または中小企業にも有効です。
このページではリーン・ビジネスプランニングを、あなたのビジネスのために、どのように機能させるかをご紹介します。
目次
- 1. リーン・ビジネスプランニングとは何ですか?
- 2. リーン・ビジネスプランニングの利点
- 3. リーン・ビジネスプランニングの概要
- 4. 繰り返しながら磨きをかける
リーン・ビジネスプランニングとは何ですか?
リーン・ビジネスプランニングとは、単一のビジネスプラン文書ではなく、常に進行中のビジネスプランニング(設営)の過程のことです。
リーン・ビジネスプランニングは、ビジネスのための堅実な戦略を開発し、顧客とそのニーズについてより深く学び、パフォーマンスを追跡しながら戦略を改善するのに役立ちます。
リーン・ビジネスプランニングの利点
従来の計画立案よりも高速
- 20分でビジネス案の初期概要を示す計画立案を作成できます。
最新の計画立案を保つ
- あなたのビジネスと顧客について学びながら、同時に計画立案を更新することが簡単なため、常に案は最新の状態を保つことが可能です。
- 長時間を費やすこともなく、たった数分で計画と戦略を修正できます。
とにかく簡潔
- リーン・ビジネスプランニングでは、限られた文章でアイデアを文書化する必要があるため、計画立案は、その本質に戻ります。
リーン・ビジネスプランニングの概要
リーン・ビジネスプランニングの概要と、それを使用してビジネスを成長させる方法について以下にステップごとに説明します。
ステップ1:リーン・ビジネスプランを作成する
ビジネスの簡単な概要を書き留めます。
あなたは、以下の基本的な質問に答えます:
「あなたは何をするつもりですか?また、どうやってそれをやろうとしていますか?」
これらの質問は、ビジネス戦略の中核であり、計画立案プロセスの第一歩です。
この計画立案を作成する初期の時点では「リーン・ビジネスプランニング設営の形式」を取ることをお勧めします。
他の人と一緒に仕事をしたり、他の人と分かち合うときに理解しやすいからです。
また、短くて簡単に調整して変更することもできます。
リーン・ビジネスプランニング設営の形式は基本的にビジネスコンセプトを1ページ分に要約したものです。
ビジネスパートナーや投資家と共有して、ビジネスの概要を伝えることができます。
起業家にとっても非常に便利なツールです。
なぜなら、ビジネスの概要を迅速に把握し、テストして検証する必要がある前提条件を特定し、顧客の詳細を把握しながら戦略を洗練することができるためです。
「リーン・ビジネスプランニング設営の形式」は以下の4つをカバーします。
- 戦略:何を行うか
- 戦術:どのような方法で行うか
- スケジュール:いつ、何を行うのか
- ビジネスモデル:お金を稼ぐ方法
【戦略】
あなたのビジネス戦略は、あなたが誰であり、何をしようとしているのか、簡単で分かりやすい言葉で概説します。
次の5つの主要構成要素で戦略を構築してください。
①ビジネスアイデンティティ
あなた(あなたのビジネス)は誰ですか、あなたは何をしていますか?
あなたのビジネスアイデンティティは、顧客にとって重要な価値提案です。
ビジネスアイデンティティは1文以内に収めます。
貴社が提供する価値を単に宣言するだけです。
例)○○自転車専門店のアイデンティティは「高品質な自転車を家族など一般の人々へ向けて提供している」となります。
②問題
あなたの顧客が不便に感じていたことなどあなたのビジネスが解決できる問題点は?
箇条書きで、解決が可能な問題を定義します。
例)「一般の人々が高品質を求める際、気兼ねなく相談できる専門店が近辺にない」
③解決策
特定した問題をどのように解決しますか?
これは本質的にあなたの製品やサービスの簡単な説明です。
例)「一般の人々が最高品質の自転車と専門家のアドバイスを得ることができる。敷居が高くない」
④市場
あなたの顧客は誰ですか?
あなたは複数の*市場細分化をターゲットにしていますか?
あなたの理想的な顧客をいくつか箇条書きにして説明してください。
持続可能なビジネスを構築するのに十分な潜在的顧客を確保するために、この段階で各*市場細分化の規模について考えることができます。
詳細な市場調査は必ずしも必要ではないが、あなたのターゲット顧客が誰であるかを分別する必要があります。
*市場細分化:特定商品(サービスを含む)における市場を異質とみなし、顧客市場を細分化することによって特定カテゴリに対して集中的にアプローチすることを目的に行う。
例)自転車のラインナップ(高級自転車市場、低価格スポーツ車市場等)
⑤競争
あなたの競争相手は誰ですか?
あなたのビジネスと競争相手とではどのように異なるのですか?
あなたのビジネスが最強の競争相手と、どのように異なっているかについて簡単な文章で
書き出してください。
【戦術】
戦術とは、戦略をどのように起こすかということです。
あなたがカバーしたい主な戦術は次のとおりです:
①販売経路
これはあなたがあなたの製品やサービスを売る方法です。
ネット販売していますか?
店頭販売していますか?
あるいは、他社の店で販売される製品を生産しているかもしれません。その場合は、問屋やディストリビューターと仕事をしている可能性があります。
販売計画の概要を書き出してください。
②マーケティング活動
あなたのビジネスをマーケティングするための、いくつかのポイントを箇条書きします。 顧客をあなたのビジネスに導くために行う主なマーケティング活動は何ですか?
③パートナーとリソース
一部の企業では、成功するために他のビジネスと連携する必要があります。
ビジネスに重要なパートナーがいる場合は、ここに書き出してください。
この欄は知的財産権のライセンスなどビジネスに必要な主要リソースを書き出すのにも最適です。
④チーム
チームはどのビジネスにとっても重要なビジネス要素の1つです。
優れたチームかどうかが、成功と失敗の違いを大きく分けます。
あなたの主要なチームメンバーとその役割をここに挙げてください。
チーム全員が、まだ揃っていない場合でも大丈夫です。
代わりに、あなたがビジネスが成長するにつれて雇いたいと考える社員を列記してください。
製品やサービス、場所、ビジネスのその他の重要な側面など、戦略をサポートするための追加の戦略があなたにはあるかもしれません。
これらの戦術のいくつかを文書化することができますが、これらの詳細についてはあまり時間を費やさないように注意してください。
あなたが構築する最初の設営は、あなたのビジネス案を文書化するための手っ取り早い方法であることを覚えておいてください。
あなたは、ビジネスがどのように機能するかについての前提をすべて書き留めているかもしれません。
しかし、あなたのアイデアをテストし、それがうまくいくことを証明するまでは(リーン・ビジネスプランニングの第2ステップの過程)、あなたは軌道にのる為の準備が整ったビジネスを持っていることにはなりません。
リーン・ビジネスプランニングの目標は、成功のチャンスを最大化するために計画に費やすのに必要な時間を最小限に抑えることです。
これらの最初のいくつかのステップをすばやく進み、2つ目のステップに進んで、あなたのビジネス案がうまくいくかどうか、または前進する前にそれを修正する必要があるかどうかを知ることで成功のチャンスがさらに広がります。
【スケジュール】
スケジュールは、ビジネスを構築するあなた自身に対する約束・責任です。
日付で示した約束・責任、および予算を含むタスクまたはマイルストーンのリストです。
目標を成し遂げたいと思ったら、そのための時間を作らなければなりません。
時間は計画を立て予定を組むことで作られます。
予定を組むことによって行動に落とし込みやすくなります。
スケジュールを組む際に検討すべき課題は以下の通りです。
◉ビジネスを開始する前に潜在的な顧客とアイデアをテストするプランを立て、その課題をスケジュールに組みます。
アイデアは実際のビジネスで実行が可能かどうかを確認する必要があります。
アイデアをテストする方法については、リーン・ビジネスプランのプロセスの第2ステップで詳しく説明します。
◉実際にビジネスを稼働させるための準備で必要な課題を追加します。
これには、あなたのビジネスを登記する日付、必要に応じてライセンスと許可を得るための日付、店舗を設定する日付などが含まれます。
◉最後に最も重要なことは、計画を見直して修正するための予定もスケジュールに含める必要があることです。
定期的に計画をチェックながら調整していかないと、簡単に脱線してしまうことがあります。
定期的に案件を見直す会議を行うことで、何が効果があるのか、そうでないのかなどを確認する機会が与えられます。
それがリーン・ビジネスプランニングなのです。
これらのスケジュールは進行過程で進化しますので、ビジネスを立ち上げるために取るべきすべてのステップを初期段階で書き出すことに多くの時間を費やさないでください。
代わりに、あなたが取るべき次のいくつかのステップを要約します。
これらのステップが完了したら、進行するにつれてステップを追加してください。
つまり、リーン・ビジネスプランニングとは進行中のプロセスのことなのです。
計画の詳細にこだわり過ぎるあまりに、進行が滞らないように気をつけてください。
計画とはあなたが先延ばしせず、迅速かつ効率的に進むためのツールなのです。
【ビジネスモデル】
ビジネス案を具体化するには、どのようにビジネスが収益を得るかを考える必要があります。
これをビジネスモデルと呼びます。
どんな企業にとっても単刀直入な概念ですが、顧客にあなたの製品やサービスを販売し、経費をカバーするための予算があります。
初めから業績予測を細かく立てないでください。
代わりに主要な収入源と費用を箇条書きします。
後から、適切な販売予測、経費予算、およびキャッシュフロー予測を追加していきます。
最初の段階では大まかに書いておけば十分です。
例)○○自転車専門店の収入源の例は以下のようになります。
- 自転車販売
- 装飾品販売
- 部品・付属品販売
- 自転車のメンテナンスサービス
- 衣類販売
○○自転車専門店の費用の例は以下のようになります。
- 従業員の給料
- 賃貸料
- マーケティング
- 公共料金
- 保険
ここでの目標は、できるだけ早くビジネスの仕組みを文書化することです。
現時点では、凝った予定や細々と数字を書き出す必要ありません。
以上で、あなたの最初のリーン・ビジネスプランニングの第一歩が完成しました。
ここで書き出した文書は、これから実際にアイデアをテストし、ビジネスを成功させるために調整し変更する必要があるものを見つけ出すための、次のステップを導くために使用するものです。
ステップ2:アイデアをテストする
リスクを削減することは、リーン・ビジネスプランニングが活躍する最も重要なことの1つです。
ビジネス案が実際に成功するかどうか定かでない場合は、ビジネスを始めることを急がず、まず、あなたが良いアイデアを持っていることを確認し、実行可能なビジネスを作成する時間に費やします。
失敗したほとんどの企業は、この重要なステップを飛ばし、アイデアをテストする前にビジネスを構築しています。
だからこそ、ここで時間をきちんと取って、あなたのアイデアは有益なビジネスを創造できるかどうかを確認するようにします。
ステップ1で「リーン・ビジネスプランニング設営の形式」を使用してアイデアを開発し、ビジネスに関する重要な前提を書き留めました。
これはあなたの顧客はどんな人か、彼らが持っている問題、あなたのビジネスが彼らをどのように助けることができるかなど、あくまであなたの可能な限りの「推測」でしかありあません。
ステップ2では、これまでに書き留めたことがすべて現実に合致しているかどうかを調べます。
- 潜在的な顧客はあなたが推測した問題を実際に抱えていますか?
- あなたの提示した問題解決法について潜在的な顧客の反応は?
- 潜在的な顧客に売る最良の方法は何ですか?
- どのようなマーケティング戦術がうまくいくのでしょうか?
これらの質問に答える最善の方法は、外出して潜在的な顧客と直接話すことです。
あなたの製品やサービスについて実際に潜在的な顧客と話をし、彼らが支払うことのできる金額、現在彼らが使用している競合する製品やサービスが何であるかなどを彼らから直接学びます。
顧客と話す方法について詳しくは、顧客のニーズを知る方法のページを参考にしてください。
ステップ3:結果を確認する
潜在的な顧客と話した後、解決策を改良するか、解決している問題を再考する必要があるかもしれません。
例)○○自転車専門店のオーナーは、最初は自転車レースを行う人たちを相手にバイクショップを開設することを考えていましたが、地域社会の人々と話し合ったときに、本当に必要なのは、 近辺に住む専門知識を持たないバイカーが気兼ねなく買い物できることだと確認しました。
この時点で詳細なビジネスプランを作成していないので、顧客についての詳細とその問題を解決する最善の方法を学びながら、ステップ1から簡単に設営を改良することができます。
これがステップ1は簡単な1ページ程の長さの設営であるべき理由で、無駄を省いた計画立案の方法がリーン・ビジネスプランニングなのです。
顧客の詳細、市場への進出方法、解決策の実際の目的などについて学ぶにつれて、簡単に更新していけるはずです。
あなたのアイデアをテストするための鍵は、常にステップ1の設営の箇条書きに戻り、ステップ2の修正・更新を行うことです。
そしてステップ3の結果確認を行い、また修正・更新を行います。
リーン・ビジネスプランニングは、常に旋回しながら調整を行う反復プロセスなのです。
既存の事業もまた、財務実績を見直すべきである
あなたのビジネスが既に稼働していて、リーン・ビジネスプランニングを使用してビジネスをより賢明な戦略に導いている場合は、顧客と見込み顧客のフィードバックを確認するだけでなく、実際の財務実績も追跡します。
成果や業績のパフォーマンスを追跡することは、間違いなく、リーン・ビジネスプランニングの重要な要素です。
ビジネスの主要な指標を追跡することなく、状況が良くなっているか悪化しているかを知ることはできません。
傾向を早期に発見し、戦略や戦術を調整することは、ビジネスの成功にとって非常に重要です。
パフォーマンスを追跡することは簡単なプロセスです。
少なくとも、実際の売上を確認し、目標と比較してください
支出を見直し、予算内に留まっているかどうかを見てください。
販売と経費以外にも、他の評価指数からあなたのビジネスが適切な方向へ向かっているかを確認することができます。
ビジネスの種類にもよりますが、それぞれ注意を払って追跡し続けるべき数値などが見えてきます。
あなたの計画に合っていない、あるいは数値が良くない場合でも気を落とさないでください。
パフォーマンスを追跡する目標は「計画にとどまる」ことではなく「計画通りに移行しない」場合に調整を加えることです。
財務指標以外にも、あなたのビジネスがどれほど健全かを示す他の重要な指標があることもあります。
例えば、セールスコールの数、レストラン内のテーブルの数、または、あなたが持っている新しいリード数です。
ビジネスにおける重要な指標が何であれ、それを追跡して測定し、必要に応じて迅速に調整することが重要です。
ステップ4:計画を修正する
これまであなたのビジネスのためのリーン・ビジネスプランニング(設営)を作成しました。
ステップ1−3を通して目標市場について学び、潜在的な顧客があなたのビジネスによって受けることのできる問題解決方法に興味を持っているかを学びました。
うまくいけば、潜在的な顧客があなたのビジネスに喜んで支払いたいと思う価格についても学ぶことができました。
あなたが集めたすべての情報に基づいて、最初の設営を修正する必要があります。
ターゲット市場をわずかに変更したり、顧客が解決しようとしている問題についての前提を調整したりする可能性があります。
もしかしたら、このステップ4に達する過程で顧客の抱える問題の解決方法に対するあなたのアイデア自体が丸ごと変わった可能性もあります。
前提を変更することに何も問題はありません。
今、あなたは紙面上のあなたのビジネスについて考えているだけなので、背負うリスクは殆ど無しです。
一旦ビジネスが稼働してからプランを変える事はずっと危険で、時に高くつきます。
あなたが本当のビジネスを構築し、その数字が上手くいくかを知ることができるかを判断する時が今(ステップ4)です。
リーン・ビジネスプランニングでは、詳細なスプレッドシートを作成する必要はありませんが、代わりに、あなたのビジネスを成功させるために必要なことの大まかなアイデアを得るために、大体の数字は書き入れておいてください。
既存の事業を経営している場合、おそらくすでに業績予想があります。
まだ業績予想がない場合は、ここ(ステップ4)でセールス目標や経費にかかる予算を設定する時です。以下を作成します。
- 販売予想
- 経費予算
- キャッシュフロー予想
キャッシュフローに関しては「キャッシュ・フローの管理方法」をご参照ください。
ここまでで、ビジネス戦略を策定し、市場投入に使用する戦術を洗練し、課題とマイルストーンのスケジュールを作成し、ビジネスが機能することを示す初期の財務モデルを作成しました。
また、あなたのビジネス案が成長し拡大することができるビジネスを創造することを、実際の顧客でテストしました。
多くのビジネスにとって、これはビジネスを開始する前に行う必要があることのほんの一例です。
リーン・ビジネスプランニングは、実際には詳細な計画書類を作成することを伴わない単純なプロセスです。
代わりに、成功したビジネスを構築するために必要な情報を手に入れることができます。
それは計画の時間を短縮し、ビジネスの成長に必要な時間を増やし、成功のチャンスを広げることです。
繰り返しながら磨きをかける
リーン・ビジネスプランニングは成長し続ける持続可能なビジネスを構築するために使用する終わりのない、常に進行中のプロセスです。
顧客と対話し戦略を改善し、販売とマーケティング戦略を改善し、業績を追跡し、販売目標と予算を調整します。
リーン・ビジネスプランニングを最適化するには、あなたとあなたのチームはプランニングを見直しするためのスケジュールを定期的に設定する必要があります。
少なくとも月に1回、進捗状況を確認し、目標を調整し、戦略をレビューする必要があります。
リーン・ビジネスプランニングは、簡単なプロセスが1ページに纏められた設営であるため、ビジネスの変化に迅速に対応できるのです。