マーケティングとセールスの違い
マーケティングとセールスはともに収益の向上を目指す活動です。この2つは密接に関係しているため、それぞれの違いを認識しづらいことが多々あります。
実際、小規模な組織では、通常同じ人物がこの両方の作業を行っています。しかし、とにもかくにも、マーケティングとセールスは異なります。
会社が成長するにつれて、それぞれの役割と責任はより専門的なものになります。
目次
マーケティングとセールスの比較
以下にポイントごとに分けた比較表を用意しました。
マーケティング | セールス | |
---|---|---|
定義 | マーケティングとは、計画、実装(何らかの機能や仕様を実現するための整備、またはその方法)、そして事業活動の管理によって売り手と買い手を引き合わせること。 | セールスとは、買い手が商品(有形または無形)、サービスまたは資産を金銭と引き換えに受け取る二者間の取引のこと。 |
アプローチ | 顧客関係、商品・サービスなどの販売活動を幅広く行う。 将来のニーズを決定し、長期的な関係のニーズを満たすための戦略を持っている。 | 会社が提供している商品と顧客の要求を一致させる。 |
焦点 | 商品・サービスを宣伝、配布、価格設定するための全体像。会社が提供できる製品やサービスを通じて顧客の欲求とニーズを満たす。 | 販売数量目標を達成する。 |
手順 | 1. 市場分析(流通経路、競争力のある商品・サービス) 2. 価格戦略(販売追跡と市場シェア分析) 3. 予算 |
通常は1対1 |
範囲 | 市場調査、広告、販売、広報、顧客へのサービスと顧客の満足度。 | 顧客のニーズに合わせて商品を製造し、顧客のニーズを満たすために商品を購入するように説得する。 |
期間 | 長期 | 短期 |
戦略 | 「引き」の戦略 | 「押し」の戦略 |
優先 | マーケティングは顧客にアプローチし、長期的な関係を構築する。 | 販売はマーケティングの最終結果である。 |
性質 | マーケティングは、ブランド・アイデンティティの構築を目標としているため、顧客のニーズの充足に容易に関連付けられる。 | セールスは、「顧客ごとの意向に沿った個別の方法」でニーズを満たす戦略である。ブランド・アイデンティティ、長期間、継続性の前提はない。必要なときに必要性を満たす技量である。 |
マーケティングとセールスの活動の違い
ここではマーケティングとセールスの活動内容の違いを説明します。
マーケティングの一般的な目標は、商品に関心を持ってもらうようなキッカケを仕掛け、見込み客を作り出すことです。マーケティング活動には以下が含まれます。
- 顧客のニーズを特定する消費者調査
- 商品開発:既存のニーズや潜在的なニーズを満たす革新的な商品の設計
- 意識を高め、ブランドを構築するために商品を宣伝
- 長期的な収益を最大化するための価格設定商品とサービスを提供
一方でセールス活動は、「見込み客」を「実際にお金と引き換えに商品・サービスを購入する顧客」に転換させることに焦点を当てています。セールス活動は、見込み客と直接対話して、商品を購入するよう説得します。
したがって、マーケティングは、一般的な消費者全体(いずれの場合にも大勢の人々)に焦点を当てる傾向がありますが、セールスは個人または小規模なグループに焦点を当てる傾向があります。
中小新興企業へのアドバイス
中小企業の事業開始時点ではマーケティング担当者とセールス担当者が分かれておらず、一人の担当者が2つの業務を兼任している場合が多いと思います。
マーケティングとセールスのそれぞれの特徴を、あなたの会社の組織的能力に応じて組み合わせましょう。
例えば、中小新興企業では個人または小規模なグループに焦点を置くようにします。具体的には、商品の初期顧客を募集し、彼らに購入してもらう以下の方法を実践してください。
コア・グループを構築する
新興企業は、まず、熱心な顧客からなるコア・グループを構築し、個々の顧客を魅了し、商品の購入意欲をわかせることから始めることをお勧めします。
多くの新興企業経営者は、自らの商品の不備や事業を開始する難しさを無意識のうちに否定し続け、幅広く浅い「マーケティング」アプローチを好みます。なぜなら、個々の顧客と話すときに、不愉快な事実や仕事に直面したくないからです。
本当に良い商品を作ることを常に努め、外へ出て、自分の足を使って顧客を見つけるようにしましょう。マーケティングとセールスは互いの協力の元、仕事が進行します。本当に良い商品を作るためには、早い段階で個々の顧客と話す必要があります。
したがって、成果を最大化する鍵である「マーケティングとセールスの連携」に焦点を当てることは、顧客を獲得する最も効果的な方法です。むしろ、これを行わないと事業が失敗に終わる危険すらあるのです。
比較ではなく、利益を売る
あなたの会社の商品・サービスを他社のものと比較するのではなく、その商品・サービスによってどのような利益を得ることができるかを顧客へ強調しましょう。
これを行うには主に3つの方法があります。
- コストを重視する(商品の値の付け方を競争相手より良く知っている)
- 品質を重視する(質が競争相手より良い)
- 上記2つの組み合わせ(より良い価値の提供)
しかし商品をセールスする方法とマーケティングする方法は異なります。
あなたは、会社の商品・サービスが競争相手よりも安い、またはもっと効果があるなどと言うことはできます。しかし、それ自体はその商品・サービスが顧客の人生をどれだけ良くするかというメッセージにはなりません。
売るということは顧客に利益を与えるということなのです。顧客が自分にとって利益になると感じないことには販売には結びつきません。
まずはテスト・マーケティング
成果の測定が不可能なマーケティングは、マーケティングとして失敗と言えます。
あなたは広告にお金を費やし、広告が掲載された頃に売上が上昇したかもしれません。しかし、その広告費が売上と相関していることをどのように確かめることができるでしょうか?
もしかしたら、広告費と売上には全く関連がないかもしれません。たまたま季節に関連して売れただけかもしれません。
マーケティングに時間とお金を費やす場合は、結果が測定できるかどうかを必ず確認してください。
各マーケティングに起因するコンバージョン(最終的な成果)を追跡する方法を設定します。そして複数のタイプのマーケティングキャンペーンを小規模に分けて別々にテストします。
これにより、例えば、メーカーが商品を消費者の手元に届けるまでに構築されている各経路を比較し、最も効果的なものを見つけることができるようになります。
商品の完成前にマーケティングをする
商品が完璧になるまでマーケティングやキャンペーンを開始しない会社があります。あなたが考えるよりも、この代償は高くつくかもしれません。
せっかく商品が完成しても、その商品が知られていなかったら誰も買ってくれません。あなたの商品・サービスがたとえまだ準備段階でも、どんどん紹介していきましょう!
商品が完成する前に、顧客へ便宜を図ることはできるのです。「商品の準備が整った時には、顧客の準備もすでに整った状態」を築き上げることができます。
顧客のニーズを把握する
このページで取り上げた、「熱心な顧客からなるコア・グループを構築し、個々の顧客を魅了し商品の購入意欲をわかせる」のも、「あなたの会社の商品・サービスを他社のものと比較するのではなく、その商品・サービスによってどのような利益を得ることができるかを顧客へ強調する」のも、「あなたの会社の商品・サービスをマーケティングする」のも、顧客のニーズを知らないことには始まりません。
しかし意外と顧客も自分が何を欲しいかということをわかっていない場合が多いのです。
こちらについては「顧客のニーズを知る方法」で説明していますのでぜひご参照ください。
おわりに
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